『美容」と『化粧』の歴史をひもとく。
『化粧』は罪か、特権か?古代社会のコスメ事情。
私がコスメについて学んだ日本化粧品検定のテキストには、化粧品の歴史についてのページがありました。
いつ頃から化粧をするようになったのか、どのようなものを化粧品として使っていたのか、世界と日本との歴史を比較しながら学びました。
もともと歴史好きの私としては、もっと掘り下げたいテーマです。
今回は、世界の化粧の始まりについてご紹介させていただきます。
古代ユダヤ社会で化粧することは罪、古代エジプトでは高貴な階級の特権。
旧約聖書の古代ユダヤ人に化粧を教えたのは、反逆の天使アザゼルなのだそう。
美しく装うことへの悪魔的な魅力を示唆しています。
しかし古代エジプトでは、化粧は神官や貴族など高貴な人々の特権になります。
大切な儀式のために用いる化粧には、象徴的な意味が込められていました。
さらにアイラインは目のトラブルを予防するなど、古代エジプト人の化粧には医学的な効用もあったと考えられています。
『化粧法』VS『美容法』。それは今を生きる私たちにも通じるテーマ。
調和のとれた自然美を重んじる古代ギリシャでは、化粧は自然の美に反する罪を犯すものとされていました。
しかし時代が進むにつれて、古代ギリシャの女性たちの間にも化粧が広まっていきます。
ギリシャ語の『化粧法』は身を飾るもの、『美容法』は身支度や衛生法、病気の予防法まで意味し、はっきりと区別されていたそうです。
美しく装うメイクに力を注ぐべきかはたまたその土台となるケアが大事なのか、なんだか現代にも通じるものがありますね。
振り返って、今を生きる私たちにとって、化粧することは大切な身だしなみであり、心を高揚させ、前向きに生きるために必要不可欠なもの。
こうありたいと思う自分を叶えてくれる、もっとも身近な手段でもあります。
時代背景や社会的な役割など、化粧を禁じられても美しくなることへの情熱を失わなかった、古代の女性たち。
時代ごとに美意識は変わり移ろいますが、連綿と受け継がれてきた美の歴史は、きっと、女性の夢や意欲を投影するものでもあったのでしょう。
思った以上に興味深かったコスメの歴史。これからも好奇心の赴くまま、コスメと時代の関係を探ってまいります。
※参考文献:ドミニク・パケ著 石井美樹子監修『美女の歴史ー美容術と化粧術の5000年史』創元社より