国立大学で先端コスメ研究!佐賀大学共同講座を訪問!
JCCのコスメ・スタディツアー、佐賀県のコスメ研究施設レポート最終回です。
今まで、
- コスメ研究の施設(シンクロトロン光研究センター)
- 肌解析機器の施設(佐賀県工業技術センター食品部)
と、見学してきましたが、最後にコスメ研究の要となるのは『人材育成』。その現場についてご紹介いたします!
ですがごめんなさい!前回以上に文字ばっかりです。というか文字しかありません。
皆さま、想像の翼を広げて読んでいただけると幸いです!
コスメ研究をリードする、徳留嘉寛先生が佐賀に。
さて、ツアーの一行を載せたマイクロバスが、最後に訪れたのは国立大学法人佐賀大学。
キャンパス内の建物に案内されると、その入口には、『化粧品科学 共同研究講座』の看板が。
ここは、JCCと佐賀大学が共同設置し、コスメ業界を牽引される徳留嘉寛先生を招聘して昨年から始まった佐賀大学共同研究講座なのです!
徳留先生自らお話してくださいましたが、私はメモを取るので必死。かなりダイジェストな内容になっていることを、何卒ご了承くださいませ!
徳留先生は薬学部のご出身。元々はドラッグデリバリーシステムを研究されていました。ドラッグデリバリーシステムとは、「必要な薬を」「必要な時間に」「必要な場所へ」「必要な量」届けるシステムのこと。この技術を応用したコスメも近年増えてきているので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
卒業後は、ポーラの研究室で10年間化粧品開発研究に従事され、その後、大学で学究の道へ。城西大学の薬学部教授として、そのままキャリアを重ねるはずが…佐賀県のコスメティック構想の招聘を受け、佐賀県にいらっしゃったのです。
現在の肩書きは佐賀大学リージョナル・イノベーションセンター・化粧品科学共同研究講座・特任教授。そしてJCCプロジェクトリーダーも兼任されています。
と書くと、堅苦しい印象を受けるかもしれませんが、実際の徳留先生は、フランクにお話される方。これまで行ってきた研究成果もたくさん話してくださり、「え、あの食品会社の商品も?」「え、あの化粧品会社の商品も?」と私は驚くばかり。
中でも、印象深かったのがヒアルロン酸の浸透技術開発です。
ちょっと専門的な話になりますが、美容成分としてポピュラーなヒアルロン酸、実は分子のサイズがとても大きいため、肌に浸透されません(高分子ヒアルロン酸)。この成分の持つ特性とそこから生まれた現象に着目し、ヒアルロン酸をナノサイズの球状に。すると、肌への浸透が可能となり、ハリ感を得られるようになったのです!
この研究は日本の化粧品メーカーと行われたもので、ナノサイズの球状ヒアルロン酸の技術はそのメーカーのハイエンドラインのコスメに搭載されたのだとか。
正直にいうと今までの私は「高級コスメには最新の研究成果が活かされている」と聞いても、あまりピンとこなかったのですが、徳留先生のお話を聞いて、「先端研究の先に、先端のコスメがあるんだ!」と素直に感動してしまったのでした。
佐賀県を舞台に、新たなコスメの進化が、始まる!
「行政がこんなに熱心にコスメ産業を推進しているのは珍しい。他所ではできないことができるかもと思っています」と、徳留先生は佐賀県でのコスメ研究の魅力を話してくださり、「佐賀の作物は独特で、面白いです」と、佐賀の産物を使ったコスメ開発に大きな期待を寄せられています。
徳留先生の心にあるのは、『研究のための研究ではなく、商品につながる研究』。
そして、何よりも佐賀大学で学生さんとの研究をとても楽しみにされています(このブログを読んでいる化粧品研究者を目指している学生さん、ぜひ佐賀大学に行きましょう!)。この共同研究講座で学んだ学生さんが、コスメ研究を盛り立てる人材へと成長する、コスメや肌研究が新たな進化を遂げる。とてもワクワクするコスメの未来が見えてきそうでした。
佐賀大学リージョナル・イノベーションセンター 佐賀大学大学院先進健康科学研究科
化粧品科学 共同研究講座のウェブサイトはこちらです。
化粧品科学 共同研究講座 | 国立大学法人 佐賀大学 リージョナル・イノベーションセンター
3回にわたってご紹介しました「JCCコスメスタディ・ツアー」レポはこれにて完結です。
途中で間が空いてしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
そしてお話を聞かせてくださった皆さま、ツアーでご一緒させていただいた皆さま、このツアーを企画してくださったJCCの皆さま、心より感謝を申し上げます。